離婚届の記入後、提出期限はあるの?いつまで有効?

「もう離婚だ!」

なんていう激しい夫婦喧嘩をした時に、離婚届まで書いたこってありませんか?

あの時は離婚届を渡されてすごく焦ったけど、今となっては私の方が離婚したい気満々。

逆に、あの時は離婚するつもりだったけれど、今は離婚する気はない。なんて。

こういう時、「あの時書いた離婚届」って有効なのでしょうか?提出期限ってあるのでしょうか?

離婚届に提出期限はない

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大昔に書いた離婚届でも、提出すれば受理され離婚は成立します。

つまり、記入日は関係なく「有効」です。

ただし、離婚届を役所に提出する時点で、夫婦ともに離婚の意思を有している必要があります。

そのため、もし昔預かった離婚届を提出しようと思っているのであれば、夫に離婚の意向を確認しておくようにしましょう。

昔預かった離婚届を提出したい

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1.夫の意向を確認せずに出したらどうなる?

役所は、夫婦双方の意思の確認はせず、離婚届に署名押印がされていれば受理してくれます。

問題は、離婚届が勝手に提出されたと知った夫が、「離婚する意思はなかった」と離婚届の提出は無効であると訴えてきたときです。

夫側は、家庭裁判所に離婚無効確認の調停を申し立てることになります。

そして、調停で話がつかなかった場合には、今度は離婚無効確認の裁判をすることになります。

裁判では、夫は、離婚届が提出された時点で、離婚の意思がなかったということを立証する必要がありますが、離婚届を記入してから提出するまでの期間が長いほど、離婚無効は認められやすくなる傾向にあります。

また、夫が「やっぱり離婚しない」というメールを送っていた場合などには、それを証拠として離婚無効が認められやすくなります。

2.勝手に出したら何かの罪になる?

離婚届を勝手に出すことは、複数の罪を犯していることになります。

それだけならまだしも、偽造してしまった場合は更に重い罪に問われることになります。

たとえば、「偽造した」離婚届を「勝手に出した」ダブルの罪のケースを見てみると、次の5つの罪に該当することになります。

a.離婚届を偽造した罪

b.偽造した離婚届を使った罪

c.離婚届で虚偽の申立てをして戸籍へ嘘を記載させた罪

d.嘘の記載がされた戸籍が使われる状態にした罪

ちなみに、昔書いた離婚届を勝手に出した場合は、偽造はしていないため、cとdの罪に該当します。

a.有印私文書偽造罪

離婚届は自署押印が必要な文書であるため、他人に成り代わって作成した場合、有印私文書偽造罪に該当します。

また、たとえ本人が自署押印した離婚届であっても、受け取った後に相手の意思に反する内容に改ざんしても偽造罪にあたります。

刑法第159条第1項、変造すると第2項に抵触して、3ヶ月以上5年以下の懲役です。

b.偽造私文書行使罪

偽造した離婚届を使った場合、たとえ未遂であっても刑法第161条に抵触して、偽造と同じ3ヶ月以上5年以下の懲役です。

偽造した離婚届を提出した、提出したが偽造とバレて受理されなかった、提出しようとしたが役所が閉まっていて提出できなかったなど、未遂で終わったとしても、行使罪で罰せられます。

なお、自らの手で偽造していなくても、偽造されたものと知っていながら役所に提出した人も同じ罪に問われます。

c.公正証書原本不実記載罪・電磁的公正証書原本不実記録罪

虚偽の内容を含む離婚届で戸籍に嘘の記載をさせると、刑法第157条に抵触して5年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

離婚届が偽造でも昔書いたものであっても関係なく、申立てが虚偽であることが要件です。

つまり、夫婦の一方に離婚の意思がないのに、離婚の意思があるかのように離婚届を出したり、偽りの記載をした離婚届を真実であるかのように出したりすることです。

未遂でも罰せられるので、勝手に出した離婚届が窓口で見抜かれても適用されます。

d.偽造公文書行使罪・不実記録電磁的公正証書原本供用罪

離婚の意思や記載内容に虚偽がある離婚届で、戸籍簿に不実の記載または戸籍の電磁的記録に不実の記録がされ、その戸籍が行使または供用されると、刑法第158条に抵触して、5年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

行使とは、不実の記載がされた戸籍簿が、公文書として他人から認識できる状態にあることから含まれます。

たとえば、戸籍簿は謄本や抄本で民間に記載内容を提供しますが、それ以前に、公文書としてその内容を保証し他者に提供できる状況なら、取得申請がなかったとしても罪に該当されます。

昔夫に渡した離婚届をなかったことにしたい

1.不受理申出書を提出しておく

昔渡した離婚届を返してもらえればいいのですが、返してもらえなかった場合は、役所に「不受理申出書」を提出しておきましょう。

先ほども軽く触れましたが、離婚届が一度受理されてしまうと、離婚の無効を主張するのには大変な手間と労力が必要になります。

そこで、「不受理申出書」を提出しておけば、夫が自分の知らない間に離婚届を出しても受理されることはなく、離婚届は返却されます。

不受理申出書は、役場の窓口で書類をもらい、必要事項を記入して署名捺印して提出すれば手続き完了です。

提出先の役場は、原則、本籍地のある市区町村役場となっています。

本籍地以外の役場でも手続きは可能ですが、その役場から本籍地のある役場に書類が転送されることとなり、転送最中に離婚届が提出された場合は離婚が成立してしまうこともあるため、急ぐ場合は本籍地のある役場にて手続きをした方が良いでしょう。提出方法は郵送でも可能です。

有効期間は、以前は提出から6か月間だったためその都度手続きが必要でしたが、現在(平成20年5月1日以降に提出した分から)は一度提出すれば無期限で有効になっています。

なお、離婚についての話がまとまり離婚届を提出したい場合は、「不受理申出取下書」を提出すれば、離婚届を受理してもらえます。

不受理申出取下書は、不受理申出書を提出した本人のみ提出することができますので、夫に勝手に取り下げられることはありません。

2.すでに離婚届を提出されてしまっていたら

不受理申出書を提出する前に、離婚届が受理されて戸籍に離婚の記載がなされてしまった場合、無効を訴えても役場がすぐに訂正してくれるわけではありません。

戸籍の訂正をしてもらうには、家庭裁判所に離婚無効の調停を起こすことになります。

そこで、離婚届を勝手に提出した夫側が離婚届が無効であることを認めれば、裁判所の審判によって離婚無効が認められ、審判書の謄本を役場に提出すれば、戸籍から離婚の記載を抹消することができます。

ただ、勝手に提出してしまうような夫なので、無効であることを認めない可能性があります。

その場合は、調停が不成立となるため、離婚無効の訴訟を起こさなくてはなりません。

訴訟では証拠が重要となってしまうため、本当に離婚が無効なのかどうかを客観的に判断できる資料や証言などが必要になってしまいます。

裁判で離婚が無効であることが認められた場合は、判決書の謄本を役場に提出すれば、戸籍から離婚の記載を抹消することができます。

夫の出方や、裁判官の判断次第では、離婚無効が認められない可能性もあります。

まとめ

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1.離婚届に記入した日から何年経とうが、その離婚届は提出すれば受理され、離婚が成立する。ただし、提出時点で夫婦双方とも離婚の意思に変わりがないことが必要。

2.夫の意思を確認せずに、昔書いた離婚届を提出することは可能。役場は提出すれば意思確認なく受理してくれる。

ただし、夫に離婚の意思がなかった場合、離婚無効確認の調停や裁判を申し立てられる可能性がある。

3.離婚届の偽造は重罪である。偽造はなくとも、昔書いた離婚届を夫の意思を確認しないままに提出し、役場に受理された場合も罪に問われる。

4.昔夫に渡した離婚届を出して欲しくない場合は、「不受理申出書」を役場に提出しておくとよい。

一度提出すれば無期限有効となるため、離婚届を提出したくなった場合は、不受理申出書を取り下げるための「不受理申出取下書」を提出する必要がある。

5.もし夫に離婚届を勝手に提出されてしまったら、家庭裁判所に離婚無効の調停を起こし、夫側が無効を認めなかった場合は、離婚無効の訴訟を起こさなければいけません。

訴訟では証拠が必要になるためハードルが上がってしまいます。





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