離婚調停申立ての付属書類にある「事情説明書」の書類は見られましたか?
裁判所によって若干内容が異なるかもしれませんが、「夫婦が不和となったいきさつや調停を申し立てた理由」を記入する欄ってものすごく小さいと思いませんか?
旦那に嫌気がさして離婚をしようとしているのに、その経緯や理由をたった数行で書けというのは無理があります。
メインエピソードだけをギュッと凝縮して書いたとしたら、それだけしかないと思われてしまいそうだし…。
そこで、おすすめしたいのが「陳述書」です。
作成する手間は必要ですが、メリットはたくさんありますので、必ず提出するようにしましょう。
この記事の目次
離婚調停に陳述書を提出するメリットは?
1.事情説明書で書き足りない部分を補える
離婚調停をするうえで、離婚を決意するに至った経緯はとても重要です。
付属書類の「事情説明書」に、「夫婦が不和となったいきさつや調停を申し立てた理由」を記入する欄があるのですが、小さくて言いたいことの10分の1も書けません…。
そこで役立つのが「陳述書」です。
事情説明書には「別紙あり」とだけ記入して、陳述書に経緯や最終的な希望をまとめて提出することで、調停員に自分の意思をしっかり伝えることができ、相手方に差をつけることができます。
2.過去の総ざらいができる
結婚当初のことから思い出して書くことになるため、過去のできごとを一つ一つ思い出し、整理をすることができます。
「思い返せば結婚当初からひどいことを言われていた」
「結婚当初は優しかったのに、不倫を始めたころからそっけなくなった」
など、あれこれ思い出すと腹が立つこともあるでしょう。
けれど、過去の整理は自分の意思を再確認し、しっかり固めることにもなります。
もしかしたら、逆に、
「あの時の喧嘩からギクシャクしだしてしまった。売り言葉に買い言葉でお互いにひどいことを言ってしまったから…」
と不仲になった原因を思い出し、もう一度歩み寄ってみようという気持ちになることもあるかもしれません。
後悔しない離婚をするためにも大切な作業と言えます。
離婚後に後悔しないためには!?
3.調停での話し漏れを防ぐことができる
緊張から、話したかったことを十分に話せなかったり、話の内容が飛んでしまったりすることがあります。
そんな時に、陳述書に目を通すことで、話したいことを思い出し、落ち着きを取り戻しやすくなります。
4.調停の時間を効率的に使うことができる
結婚生活が長いほど、結婚から離婚を決意するに至るまでの経緯を説明する時間が長くかかってしまうもの。
最初の面談時間は経緯の説明だけで終わってしまった…なんてことになってしまったら、あと何回必要になることか分かりません。
調停前に陳述書を提出しておくことで、調停員に事前に目を通してもらうことができるため、調停当日はスムーズに核心に入ることができ、時間を効率的に使うことができますよ。
離婚調停の準備はこちらも
離婚調停に提出する陳述書の作成方法は?
1.陳述書の書式
読み手が読みやすいように書式を整えます。
つまり、裁判官や調停員が読みやすいように。
調停員は中高年の方が多いため、小さい文字で、1行あたりの文字数が多いと、読みにくくなってしまいます。
そのため、フォントサイズは12~13で、1行当たりの文字数も30~40字程度。
枚数は3~5枚程度にまとめるのが良いでしょう。
それ以上多くなると、流し読みされたり、読んでもらえたとしても記憶にとどまりにくくなってしまいます。
枚数が多くなる場合、書いている内容がほぼ相手の悪口だったり、自分は悪くないと主張する内容になっていたりするものです。
そうなると、調停員に「この人は自分のことしか見えていない」と思われ、せっかく書いた陳述書が自分に不利な材料となってしまいかねませんので気をつけましょう。
用紙サイズ | A4 |
フォント | 明朝体またはMSゴシック |
フォントサイズ | 12~13 |
1行の文字数 | 30~40字 |
枚数 | 3~5枚程度 |
2.陳述書の構成と内容

陳述書は、決まった書式はないものの、大体このような形で作成されます。
陳述書 | |
平成○年○月○日 ○○家庭裁判所御中 | |
(一行あける) | |
内容 | 結婚に至るまでの経緯 |
子供のこと(年齢や同居の有無等) | |
夫婦それぞれの職業や収入 | |
離婚を決意させたきっかけや事件 | |
その後の状況や相手の対応 | |
離婚協議の状況 | |
最終的にどうしたいか | |
・親権、監護権 | |
・面接交渉 | |
・養育費 | |
・慰謝料 | |
・財産分与 | |
・年金分割 など | |
○○署名○○ 印 |
3.どう書くか?
書くべきことを厳選して、具体的にかつ簡潔に書くことが大切です。
箇条書きでもかまいません。
・離婚を決意させた直接のきっかけや事件について
調停員に共感してもらえそうなエピソードを中心に、婚姻を継続するのは無理だと思えるような、具体的な事実を書く。
・慰謝料(多く取りたい場合)
夫婦関係が破たんしたのは、相手方の責任であることを具体的な事実に基づいて書く。
不貞行為・DVなどで心身が深く傷ついたことが伝わりやすいエピソードを書く。
・親権(取りたい場合)
これまで自分が子供の世話をしてきたことを具体的に書く。
たとえば、食事、通学準備、病院への通院、学校行事の参加など。
相手方については、親として不適切であると思われることを、具体的事実に基づいて書き、だから自分の方が親としてふさわしいとまとめる。
※最後に、何も知らない人が読んでも理解できるか、誤解を与えるような文章や、自分の心象を悪くするような表現はないかをチェックするようにしましょう。
陳述書作成時の注意点
1.感情的にならない
「不倫されたから離婚する。信じられないし、二度と顔も見たくありません」
と書くのと、
「夫の様子がおかしいと思い、携帯電話の履歴を見たところ、泊まり込みの出張と聞いていた○月○日に、実は不倫相手とホテルに行っていたことが分かりました。夫を追及したところ、○月頃から関係を持ち、10回ほどホテルに行っていたと白状しました。しかし、その後も相手女性との連絡を続けていることが分かり、離婚を決意しました」
と書くのとでは、説得力が違います。
単なる感情論ではなく、具体的な事実を書くように気をつけましょう。
2.事実と悪口を混同しない
相手から受けた暴力や苦痛を具体的に書くことはかまいませんが、単なる悪口は書くべきではありません。
たとえば…
「話し合おうとすると、毎回ドアを蹴って部屋から出ていってしまうため、怖くて話し合いを切り出せないし、改善が期待できない」
と書くのと、「学歴が低いから話をしても分かってもらえない」と書くのでは全然違います。
書きたい気持ちも分かりますが、単なる悪口は、調停委員からの自分の評価を下げてしまうため、気をつけましょう。
3.嘘は書かない
嘘を書くことはやめましょう。
嘘がばれた時、裁判官や調停員からの信頼がなくなります。
たった一つの嘘だったとしても、あなたが書いたもの、発言したものすべての信用度を落としてしまいます。
嘘を書くくらいなら、そのことに触れない方がましです。
まとめ
文章を書くことに抵抗があるかもしれませんが、とりあえず思うがままに打ち込んでみましょう。
後で読み返しながら、単なる感情的な訴えや悪口などの不要な箇所をカットし、書き漏れがあれば、書き足せばいいのです。
パソコン入力が苦手な場合は、何を書くか一度紙にまとめてから入力するようにしましょう。
完成した陳述書は、あなたの離婚を必ず有利なものにしてくれます!
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