離婚調停では、調停委員と呼ばれる方が間に入られるのは、みなさんすでに知っているかと思います。
では、調停委員とはどういう人で、何をしてくれるのかも知っていますか?
私は、弁護士資格を有している方かと思っていたのですが…違っていて、結構衝撃的でした。
調停で有利な結果を得るには、「陳述書を書くこと」に加えて、調停員に味方になってもらうように図ることも大切です。
そのためにも、まずは調停委員がどんな人なのか押さえておきましょう!
この記事の目次
調停委員とは

1.どういう人がなっているのか?
正式には「家事調停委員」と言い、最高裁判所が任命した裁判所の非常勤職員です。
どういう人が任命されるのかというと、40歳以上~70歳未満で、下記の資格のいずれかが必要になります。
・弁護士資格を有する者
・家事の紛争の解決に有用な専門的知識・経験を有する者
・社会生活上で豊富な知識・経験を有する者
実際には、弁護士、司法書士、税理士、不動産鑑定士などの専門的知識を持った方は少なく、地域の学校の校長先生や地域の有力者、民生委員といった人生経験が豊富な有識者が多くなっています。
なお、離婚調停の場では、男性1名、女性1名、計2名の調停委員が担当につくことになります。
2.法律的知識がなくても大丈夫なの?
弁護士や司法書士のような法律的な知識を持っていない方もいると知って、心配になった方もいるかもしれません。
確かに、中には、当事者の方が調停委員よりも法律に関する知識があったりするようなこともあるようですが、基本的に専門的知識が必要になりそうな事案の場合には、そういった知識を持った調停委員があてられることが多いようです。
とはいえ、これまで様々な案件を対応してきた離婚のプロですので、離婚に関する知識と経験は豊富で、弁護士よりも柔軟で法律に限らない様々な角度から、離婚についてのアドバイスをしてもらうことが可能と言えます。
3.信頼できるのか?
離婚問題と言えば、仕事や親族関係に関する情報から、性生活、財産に関する話まで、夫婦の様々な問題について話すことになるけど、プライバシーは守られるのか、誰かに知られてしまわないか、不安に思ってしまうかもしれません。
このような心配や不安があれば、安心して話し合いを進めることはできません。
そのため、調停委員には「守秘義務」が課せられており、正当な理由なく、職務上知り得た秘密を洩らしたときは、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されることになっています。
また、当事者双方に対する「中立性・公平性」も求められます。
たとえば、相手方とは1時間も話をしたのに、自分とは30分しか時間を持ってくれなかった…なんてことになったら、調停委員は相手方の肩をもっている!と信用できなくなってしまいますよね。
そのため、双方と話す時間もなるべく同じ時間にするなどの考慮もなされています。
どういう風に話をまとめられるのか
離婚調停とは、夫婦だけでは冷静に話し合いを進めることが難しい場合や、話し合ったものの離婚条件の合意がとれず平行線状態の場合などに利用されます。
そのため、離婚調停での調停委員の役割は、ざっくり言うと「夫婦の間に入って、話を取り持つこと」となります。
方法としては、夫婦の一方から意見を聞き取り、それを相手方に伝えるとともに意見を聞き取り、また一方にその内容を伝えて意見を聞き取る…この繰り返しで調整を図っていきます。
調停委員は、人生経験が豊富で、これまでに様々な離婚調停を経験しているため、夫婦の関係性やそれぞれの性格などを読み取り、最適な対応をしてもらうことができます。
たとえば、相手方に意見を伝える際は、話す内容や話し方、タイミングなどを考慮し、こちらが相手方に伝えたくないという内容は内密にしてくれたり、夫婦が円満離婚できるための様々なサポートをしてくれます。
法律をもとに動かれているわけではなく、経験や知識、常識をもとに助言をしてもらえるというのは強味でもあり、一方で、アドバイス内容や対応が調停委員によってバラバラとなることから、相性の問題などもあるかもしれません。
調停委員を味方につけることはできるのか?
1.難しい…けれど
調停委員に、自分の味方になってもらう、自分の肩を持ってもらうことってできるのでしょうか?
先ほど、調停委員は「中立・公平」であるべきもの言った通り、当事者の一方に肩入れしたり、自分に有利な条件を相手方に強要してもらうなどの行為は一切できません。
ただ、自分に対する心証を良くすることで、親身になってもらうことはできると思います。
2.心証を良くする方法は?
調停委員の年齢は40代から60代で、50代が最も多いと思われます。そして、社会的な立場が高く、常識があり、周囲からの信頼も厚い人であると考えると、さて、どういう人が好まれるのでしょうか?
ご想像の通り、服装、身だしなみ、態度などが「きちんとしている人」ですね。
●服装や身だしなみのポイント
・スーツがおすすめ(ヨレヨレやボロボロの服はNG)
・髪色は明るすぎず、きちんと整える(金髪や明るすぎる茶髪、ボサボサ髪はNG)
・化粧はナチュラルメイクで控えめに
・派手なバッグや靴、アクセサリーは避ける など
⇒就職試験を思い出してみると、清潔感や好感度がある服装が分かると思います。
●態度に関するポイント
・感情的にならず、冷静な対応ができる
・相手方の言い分や意見にも耳を傾け、自分に非があれば素直に認めて謝罪する
・自分の意見や言い分がきちんとまとまっている
・要求内容は妥当なもので、法外なものではない
・相手方を一方的に非難したり、悪口だけを言い続けたりしない など
⇒こちらも就職試験を思い出してみましょう。ディスカッションで、相手の意見をまったく聞かない、認めない人は、協調性にかける人と捉えられてしまいます。
相手方の言い分をおかしいと思っても、とりあえず聞き、妥協点を探る努力(素振り)をするように心がけましょう。
やりがちなのが、相手の悪口をダラダラと言ってしまうことです。事実を述べるのはかまいませんが、単なる悪口は控えましょう。
●その他注意点
・必要な書類をきちんと準備している
⇒忘れがちですが、書類は記入漏れがないようにし、提出漏れや当日の忘れ物にも注意しましょう。
まとめ

離婚調停で有利な離婚をするために必要なものは?持ち物と服装と○○
1.調停委員は、最高裁判所に任命された40歳以上70歳未満の方で、弁護士や司法書士などの法律家に限らず、地域の有力者、民生委員といった人生経験が豊富な有識者などが任命されている。
法律に関する知識を持たない調停委員の割合が多いが、離婚問題に関する知識や経験値は高く、円満離婚に向けた様々なサポートをしてもらうことができる。
2.調停の場で話をしたことは、守秘義務があるためプライバシーは守られる。また、調停委員は夫婦双方に対して、中立・公平であるように努められている。
3.調停委員を完全に味方につける、肩を持って
もらうことはできないが、心証を良くすることで、より親身に話を聞いてもらうことはできる。そのためには、調停委員に好まれる「きちんとした人」である必要がある。
服装や身だしなみ、態度に気をつけることが大切。
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