「ストーカー規制法」というのは聞いたことがあると思います。
正式名称「ストーカー行為等の規制等に関する法律」で、ストーカー行為の処罰をはじめ、必要な規制を行うための法律です。
ところで、この法律、「離婚した元旦那」や「別居中の旦那」に対しても適用されるのでしょうか?
離婚後や別居中、復縁を求めてあなたの家や実家、職場周辺を徘徊されたり、何度も脅迫電話をかけてこられているとしたら、大変な不安と心身の負担だと思います。
でも、赤の他人ではなく夫だった人(別居中であれば今も)なわけで、それでもストーカー規制法で取り締まってもらえるのか、ちょっと疑問だったりします。
その答えは………最後に書きます!
まずは、どういった行為がストーカー行為に該当するのかから見ていきましょう。
この記事の目次
「ストーカー規制法」で取り締まられる行為と対応策
・あなたを尾行してつきまとったり、進路に立ちふさがる
・通勤・通学途中など、あなたの行動先で待ち伏せする
・あなたの自宅や職場・学校などを見張ったり、押しかける・あなたの進路に立ちふさがる
●対応策例
・人通りが少なかったり、細い道は避ける
・外出時には、防犯ブザーを携帯する。 携帯電話からいつでも「110番通報」ができるよう、携帯電話に短縮登録しておく。
・不安な時にはタクシーを利用したり、家族に迎えに来てもらう。
・緊急時には、ためらわずに交番・コンビニ・民家等に駆け込み、助けを求める。
2.行動監視をしていると告げる行為
・あなたの服装や行動パターンをあなたに告げ、いつも行動監視をしていることを気づかせる
・帰宅した直後に「お帰りなさい」などと電話をする
・「俺はお前をいつも監視するぞ」などと言葉やメールなどであなたに告げる
●対応策例
・部屋のカーテンは遮光性のものにし、部屋の中が外から見えないようにする。
・監視されていることを告げられた場合は、状況・内容をメモして、すぐに警察に相談する。
3.面会・交際等の要求
・拒否しているにも関わらず、面会・交際・復縁など、義務ではないことを求める
・贈り物を受け取るように強要する
●対応作例
・中途半端な拒否や態度は、相手に期待をさせ、ストーカー行為に発展するおそれがあるため、相手に対して誠意をもって「NO!」の意思表示をする。
・それでも執拗に、義務のない行為(交際など)を要求された場合は警察に相談する。
4.粗野・乱暴な言動
・あなたに、大声で「バカ野郎!」等の粗野な言葉を浴びせる
・あなたの家の前で大声を出したり、車のクラクションを鳴らすなど、乱暴な行動をする
・「一生呪ってやる」などのあなたが不安に感じるような乱暴な言葉を手紙やメールに書くなどしてあなたに伝える
●対応策例
・危険を感じたら、「防犯ブザー」で助けを求めるか「110番通報」をする
・暴力を振るわれた場合は「暴行・傷害」、物を壊された場合は「器物損壊」という罪にあたるため、警察に「被害届」を出す。
5.無言電話、連続電話・ファクシミリ・電子メール
・無言電話をかけてくる
・拒否しているにも関わらず何度も連続して電話をかけてきたり、FAXやメールを送信してくる
●対応策例
・余分な会話はせず、警察に届け出ることを告げるなど、毅然とした態度で「拒否」の意思を伝える
・日時・内容・相手の電話番号などを記録しておき、携帯電話の着信履歴などは消去せず、メール履歴なども証拠として残しておく
6.汚物などの送付
・汚物や動物の死体など、不快感や嫌悪感を与えるものを自宅や職場に送りつける
●対応策例
・不審物は開封せずに、宅配業者から返送してもらう。届いた日時や内容・送り状等をメモしておく。
・玄関前などに不審物が置き去りにされていた場合は、触らずに警察に連絡する。
7.名誉を傷つける事項の告知
・あなたを中傷したり、名誉を傷つけるような内容を直接あなたに告げたり、中傷ビラなどを郵便受けに投入する
・インターネットにあなたの名誉を害する書き込みをする
●対応策例
・中傷ビラなどは、そのまま保存して警察に届け出る。
・インターネット上の書き込みなどは、保存・プリントアウトして警察に届け出る。
8.性的羞恥心を害する事項の告知
・わいせつな写真などを自宅や職場に送りつけたり、電話や手紙で卑わいな言葉を告げて恥ずかしめようとする
●対応策例
・個人情報(住所・電話番号・メールアドレスなど)の管理を慎重にする。
・送りつけられた写真やビデオテープなどは、警察まで届け出る。
ストーカー規制法による取り締まり
1.警告
被害者の申出を受けると、警察はストーカーに対してつきまとい等の行為を行わないよう警告を行います。
警告の方法としては、ストーカーを警察署に呼び出して書面を交付したり、携帯電話を通じて口頭で警告したり、様々な方法がとられます
2.禁止命令
警告でも改善されない場合は、各都道府県の公安委員会から書面で、つきまとい等行為を行わないよう禁止命令が発せられます。
その際、各都道府県の公安委員会はストーカーに対して、事情を説明して弁解する機会を与えます。
3.禁止命令に違反した場合の罰則
禁止命令に違反して「つきまとい等」を行った場合は50万円以下の罰金が科せられます。
禁止命令に違反して「ストーカー行為」(特定の人に対して「つきまとい等」を繰り返し行うこと)をした場合は、1年以下の懲役または100万円未満の罰金となります。
4.告訴による処罰
ストーカー規制法にもとづく「警告→禁止命令→罰則」の流れとは別に、相手を告訴して処罰を求めることもできます。
これには被害者からの「告訴」が必要で、手続き方法は警察に告訴したい旨を申し出れば教えてもらえます。罰則は6か月以下の懲役または50万円以下の罰金となります。
行為によっては、刑法の罰則も
・脅迫罪…「復縁しないなら殺す、家に火をつけてやる」など、言葉や動作によって、相手の体、自由、財産などに危害を加えようとするとき。
刑法222条により2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる。
・傷害罪…一日に何百回と無言電話をしてこられて、精神的に追い詰められノイローゼになった場合など。
刑法204条により10年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる。
・暴行罪…怪我はなかったが、暴力を振るわれたとき。石を投げつけたり、バットを振り回して追いかけてきたり、髪の毛を切られたなど。
刑法208条により2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる。
・名誉毀損罪…インターネット上、に誹謗中傷する内容を書き込まれたり、悪口を言いふらされた場合。
刑法230条により3年以下の懲役もしくは禁固または50万円以下の罰金が科せられる。
※他にも受けた被害によって、住居侵入罪、器物損壊罪などが適用される場合があります。
元旦那や別居中の旦那でも適用される?
答えはズバリ「適用される」です!離婚後、別居中ともに!!
ただ、要件があり、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情またはそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」をもって行われているかによるのです。
つまり、「お金をくれ、返せ」というような目的でつきまとわれている場合は、該当しないので、ここだけ注意をしてください。
まとめ

1.つきまといや待ち伏せ、無言電ははストーカー行為の王道。その他にも該当があれば、警察に相談しましょう。
2.ストーカー行為への警察の対処は、警告→禁止命令→罰則、告訴。場合によっては、刑法の罰則にも該当することもある。
3.元旦那や別居中の旦那に対しても、ストーカー規制法は適用される。ただし、恋愛感情や好意の感情が絡んでいることが要件となる。
いかがでしたか?離婚後だけでなく、別居中の旦那にも適用されるということは、それだけこれらの行為が危険を伴うこと、ということなのかもしれません。
不安がある場合は、すぐに警察に相談に行くようにしましょう。
※参考サイト:大阪府警察HP
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